「お湯を沸かすほどの熱い愛」、心に染み入る映画

帰宅後入浴を済ませて、食事を始めた。

いつにもなく、真剣な表情のテレビに向き合う家人に、何を見ているのだろうと目を向けると、「お湯を沸かすほどの熱い愛」(テレビ東京)であった。

 

途中からではあったが、つい食事の手が止まるほど、見入ってしまった。

 

 久々と言うよりも、「名もなく、貧しく、美しく」以来、半世紀ぶりの、心に染み入る映画であったと思う。

 

 戦後、自らの精神も、荒廃してしまったのではないのかと心の片隅では思いながらも、…恵まれすぎるほどの家族に囲まれて生きることのできる自分に心からの感謝の毎日ではあったけれど。

 

 今どき、こんなにも人…、ではない、人間の崇高な心と、荘厳な死を描き切った映画に出会うとは…。

 

 宮沢りえさんはじめ、子役の演技には、褒める前に、つい引き込まれて見入ってしまった。

 

 そしてつい、そこに、41年前、自分(私)が26歳の時、他界した母を重ねて合わせて見てしまったのである。

 同じように癌の病であったのだけれど、その15年前に、夫(自分の父親で自分が11歳の時だった)を亡くし、その直後に胃の病変を告げられながらも、当時4歳の末娘(自分の妹)をかかえて、それから14年間も気丈に生きた、本当に強い母であったと思う。

 あまり個人的なことをひけらかしたくはないのだけれど、自分のうえに4人の兄弟がいて、やはり、一番上の兄弟(姉弟)2人を、幼子のころから我が子として育ててきたことを、自分も聞かされて育ってきた。

 

 その母の、強さ、優しさ、そしてついに病にたおれ、二度と起き上がることのなかった母の顔と…本当に二重写しであったことが、自分の胸を、より一層深く深くえぐるような映画であったことに感謝の気持ちを捧げたいと思う。

 

 かくなる自分も、自分のうえの兄弟たちのおかげで、今こうして幸せな人生を送らせてもらっているのだけれど。